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スリルとサスペ・・

表参道でフォードの何とかいう車がガス欠。燃料10L持ってとっとこ伺うと、大きなバンが車線を半分塞いだ状態で止まっている。後方からは嵐のようなクラクション。苦笑いの御客様に笑みを返し、急いで給油を始めると遠くから「・・ナントカカントカを・・・ナントカせよ~!」みたいな怒号が聞こえてきた。どうやらこちらに向かってくる雰囲気。・・まずい・・街宣車だ・・こんな状況で遭遇したら穏便には通り過ぎてはくれない・・と思う。御客様も察してるようだ。顔がこわばってきている。急いでも時間が変わらないのが給油作業なのだが、とりあえず完了。「エンジンを!」言い切る前に反応した御客様、キーを捻るも『グググウ~』とバッテリーが反応しない。・・上がってる・まずい・落胆している暇は無い。もう街宣車の怒号はすぐそこまで来ている。ボンネットを5秒で開けブースターを噛ませる、間髪をいれずエンジンを回してもらう。1回・2回・3回・エンジンが掛からない。まだガソリンがまわっていないのだろう。4回目に軽快に始動、ブースターを外しボンネットを2秒で閉め、脇に寄せてもらう。道が開いた車線は冷たい視線の雨とともに間断なく車が流れていく。安堵の表情を浮かべる御客様が握手を求めてきた。まるで映画のワンシーンを切り取ったかのような緊張からの開放。この短時間での到着・完了は助人ならではだ。早々に処理を終え、御客様を送り出す。

と同時に街宣車は手前の交差点で曲がって行った。シュプレヒコールと共に彼方へ。ああ 映画のワンシーンはコメディだったんだとその時気付いた。

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