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必殺技のタイミング

夜勤担当の雨の日曜日、仮眠を取ろうといつもより早めに布団に入ったその瞬間、出動を知らせる電話が鳴る。

渋谷のデパート駐車場でチェロキーのインロック、0時10分に駐車場が閉まるので、それまでに来て開けて欲しいとの要望付き寝ぼけた頭で時計を見ると23時37分・・・・

一気に目が覚める、あわててカッパを羽織って3分で出発、正直間に合うかどうか微妙な時間だ、しかし間に合わなかった時の気まずさを思うと自然と向かうペースも速くなる。

0時ジャストに現着、クルマの所まで走り寄りお客さんと合流する早速鍵穴を確認すると結構使い込まれていてガタが大きい。嫌な予感が走る通常、チェロキーだったら3分位で楽勝の鍵だが、使い込まれていると断然難しい鍵に変貌する。

5分後、今一歩のところで足踏み状態、時間はあとわずかしかない駐車場が閉まる旨の場内アナウンスが、先ほどから幾度も繰り返されている。もう場内には他の車の影は無い、お客さんを見ると半ば諦め顔だ。

その表情を見た瞬間、のらりくらりとかわす様に逃げて開かない鍵に対して怒りに近い感情が湧き上がる。鍵に対して怒る?こんな感覚は普段抱いた覚えが無いつられてピッキングのスタイルも変わって行く、覚醒状態とでも言うのだろうか、先ほどまで埒のあかなかった鍵を30秒ほどで開け切る。

駐車場が閉まる3分前にお客さんを見送り、無事に終了する。最初から必殺技を出せないヒーローの気持ちが、解ったような気がする雨の夜だった。

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