
今夜の夕飯は何にしようかな?と考え始めた20時過ぎ、首都高のパーキングからVW・ゴルフⅤ+子供インロックの一報。一瞬で腹の虫は何処かへすっ飛んで行った。
料金所を抜け本線へ合流する時、首都高が絶望的な混み方をしていない事にホっとした。乗り込んだ料金所の直ぐ近くにはX字合流があり、曜日と時間帯によってはピクリとも動かない事が多い。たまに首都高に乗った事を後悔してしまうくらいヒドイ時がある。でも、そんな状態でさえも上を使った方が多くの場合早く到着出来るのです。完全に詰まっている時は精神衛生上良くないですけど。
程なく依頼のあったパーキングに到着。駐車エリアに入って直ぐ、食い入るように車の中を覗く人影を見つけた。そこへ近付きながら車輌とナンバーを確認すると依頼車輌に間違いない。隣にバイクを止め、行きかうトレーラーの轟音にかき消されないよう、かなり大きな声でお客さんへ声をかけた。
中に閉じ込められている子供はじっと動かず静かに僕を見つめた。いくらドアを挟んで外に両親がいるとは言え、照明が行き届かぬ駐車場では心細くなっている筈。そう考えならが子供と視線を交えると、胸の中をギューっと掴まれた様に僕の心は急いた。
気持を落ち着かせる為、ゴルフに付いている錠の構造とそれを構成する部品一つ一つを思い浮かべ、工具で触った際の反応と特徴を頭の中で部品へ加えて行く。錠を解くと言う作業は、感覚と感触をいかに理詰めにする事が出来るかにかかってるのです。
猛烈な勢いで解錠を完了させドアを開けるが子供は泣かなかった。その後、書類作成等の手続きをしている間も終ぞグズる事すらなかった。しっかりした子だなぁと思いながらお客さんの車を見送っていると、去り際に子供が僕を見てニコっと笑った。その顔はさっきまでの落ち着いて冷静な大人びた顔とは打って変わり、とても屈託のない子供らしい笑顔。ついつい僕もニコっとなってしまった。そんな自分の様を顧みて、子供の笑顔で優しい気持ちになるのに理屈は全く必要ないですなぁと思ったのです。
