助人には15分救援システムというルールがある。開錠時に発動されることが多い。
経験上ピッキングしてから15分もあれば大半の車は開錠できる。しかし15分を超えるものは、さらに30分を覚悟し、1時間と迷宮入りしてしまう可能性が高くなるものだ。以前の思い出話し、13日の日記にもあったが、お客さんを延々と待たせてしまうのだけは避けたい。
そこで考案したものがこのシステムだ。15分経過しても完了報告のない場合、自動的に最寄の助人隊員が出撃し、2人共同作戦をとるシステムになっている。助人開業依頼、さすがに1時間以上作業したことはないが、このシステムがフォローしているのは否めない。
最初の頃は技術的に不安のある隊員のみ対象だったものが、今では全ての隊員が対象だ。技術的な不安は解消されたものの、現場の環境、隊員の体調などで、その時の読みと感覚にズレが生じると断言したのはH隊員。H隊員の腕は1級品だが、自らが陣頭にたって、環境を配慮したシステムへと移行させていった。
午後、板橋区前野町で'98年式クラウンがインロックしたとの知らせ。板橋区担当は撃破数NO.1のH隊員である。数々の依頼を瞬殺させてきた実績から、一番安心できる隊員といえよう。現地到着まで20分。そこから15分が経過した。H隊員に限って今までなかった事だったが、救援システムを発動、A隊員が出撃した。
現地ではH隊員が奮戦していた。実はこの車、通常のピッキングでは開錠できない仕組みになっている。否、開錠したとしても錠のほうが壊れてしまうのだ。故に専用工具(ハンドピック)が必要となる。H隊員は「覗き」のプロである。およそピッキングで開けられない錠はないだろう。しかしながらハンドピックになると別物だ。その点A隊員はバランス型なのかもしれない。合流してから5分後に開錠。トータル45分の作業時間。
H隊員は洞察力に優れ、プライドの高い実力者だ。「さぞかし落ち込んでいるだろうなぁ」と思っていたら、H隊員、「負けた~!錠に勝てんかった!」と言い放った後、「この借りは100倍に返したる。」と豪語。早速事務所に戻り、ハンドピックの猛練習。目が血走っている。ハンドピックは機会が少なく容易であるためノーガードになりがちである。反省点を全隊員に通知するなど、怒涛の働き振りだ。
悔しさをバネにできる人間は強い。
