夜の東中野でフォードバンのインロック通常の作業では開けられない鬼門の鍵。特殊な合鍵セットを持って駆け付ける。合鍵の数260本・・
作業自体に時間がかかるので今回は2名体制で挑む。御客様は結婚式場に訪れた地方からの列席者2名。今夜は宿泊予定なのでと作業の傍ら駐車場で酒盛りを始める。我々はといえばやはり作業に難航、既に30分が過ぎようとしている。一方は、ほろ酔い赤い顔 こちらは開かない青い顔、その構図に一人で勝手に笑いがこみ上げる。いかんいかん 作業中なのに・・。
調子の上がってきた御客様は冷や汗を流しながら作業している我々に色々と問いかける「収入は?」「ピッキングってどうやるの?」「一杯やりませんか?」質問に御答えしつつのやり過ごしつつで奮闘、作業員一人には集中させたくて私一人が御客様の受け答え担当になる。開かない・・手持ちの鍵を取り替えてもう一度最初からアタック。いや 本当に開かない。一瞬諦めが頭をよぎる いや、さっきから何度もよぎりまくっている。
「厳しそうですね。」と御客様から声をかけられた1時間後「グルリ」鍵のまわる音。「開いたぁ~」と声が出そうになるのをグッと堪えて「御待たテ致しました。」嬉しさのせいか、噛んでしまった。
正直、開いて嬉しいようではマダマダだ。だがこの鍵だけはいつも嬉しい。表題に出てくるカンダタの気持ちが少しわかる。
御客様は上機嫌で街へ呑み直しに出かけた。我々は煙草を一本一緒に吸い、「お疲れ」と持ち場へ戻る。帰り際に「今日が晴れてて良かった」と思った。
