隊長は昔の商売柄、芸能人や有名人によく会う機会があった。今でもない事はないが『見かけた』程度ではない。大概は人に話しても低レベルのくだらん自慢話にしか聞こえないだろう。が、それでも自慢したい話しがある。若い世代の人にはどうでもいい話かもしれないが隊長は永チャンと酒を飲んだことがある。一緒のテーブルで。言わずもがな矢沢永吉である。そりゃ私の年代には永チャンといえばもう・・
「店長、一緒に飲もうよ」と御誘い頂き余すことなく永チャン節を堪能したのであった。どうやら一緒の女の子を口説くのに当て馬にしたかったらしい。
「どうよ、店長 このコかわいいよねぇ~ そう思わない?」とこちらに振る。
「ええ その通りです。 おっしゃる事に間違いないです」とできの悪い通訳のような返事を返した記憶がある。永チャンは普段でも永チャンでした。口角を右に左に上げながら話す姿を見ていると・・ああ 矢沢だ・・としみじみ思ったものです。広島出身のバーテンの男の子は直立不動でうなづくのみでした。(矢沢は広島出身)
話は変わり、まだ隊長がペーペーの頃店に、とあるアラブの石油大富豪がやってきました。一番いい席に陣取り、一番高価なシャンパンを注文しゆったりと飲んでいます。グラスの酒がなくなると下っ端の隊長が注ぎ足しにしくのですが、注ぎ足すと同時にチップをくれるのです。1万円を。試しに半分くらいのところで注ぎ足しにいくと、また1万円のチップさらには一口飲んだら注ぎ足しにいき、それでも同額のチップをくれる様を見ていた当時の店長以下、全幹部4人が大富豪の周りを固め一口飲んでは注ぎ足し、また一口飲ませてはチップを貰い下っ端の隊長はいつの間にか皿洗いに追いやられてしまったのです。
5万位のシャンパンにチップは30万ほど出したと記憶しています。バブルとかナントカいう次元の世界ではない何かを感じまた、人の欲望のドロドロさを垣間見た記憶でした。
