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助ける事ができない助人

夏は明るくなるのが早い。が、まだ6時ちょいの中野鷺宮。さすがに住宅地は寝静まっているかのように閑静だ。宅地をかいくぐる隊長のバイクの音がやけに響く。

依頼の内容は、バッテリーあがり。車種はカルマンギア。小路を抜けて現場に着くも、車らしきものは無い。現場自宅の前には、おばさんが立っている。「○○さんですか」声をかけると依頼者の母親。「さっきまでここにいたんですけどね」と返事。本人に携帯で連絡すると

「ああ エンジン掛かりました。キャンセルしてください。」到着間際にバッテリーが目を覚ましたのだろう。朝まだ早かったし。「じゃあ失礼します」帰りかけると 「あの~」 母親が何か言いたそうだ。「ウチの子供の車は、毎朝もの凄くうるさくて近所から苦情が来ている。なんとかなりませんか?」「はあ・・」と生返事を返す。

なにせカルマンギアといえばVWの空冷フラット4のOHVそりゃバタバタと大きな音がするに違いない。この住宅地では、さぞ騒がしいだろう。「息子さんの車は昔の車でなんともならないと思いますよ」母親は困惑しきった顔で

「いつも言うんですけど聞かないんですよ。なんとか工夫して静かにならないものかそれかあの子に御宅さんから言い聞かせてやってもらえませんか?」なんか半ギレ状態だ。

いや~ そんな御願いされても困るのでございます。全く面識の無い人に「うるさいから車を替えてはどうか」とでも言うのか。工夫するも何も、恐らく本人はあの音が良くて乗っているのだろうし・・クラウンのエンジンでも載せ替えてみたら・・・とは言わなかったが。

「お力になれなくて申し訳ないんですが、息子さんとよく話し合ったほうがいいと思います」とだけ言い残して帰ることにする。

現場を離れ少し走った所でキャンセルの旨、受注に伝えるがその時「バタバタバタバタ~~」と件のカルマンギアが横を走っていった。たいそううるさかったそうな。

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