ある日、ふと思い出したら その事がだんだん腹立たしくなった。以前、隊長の前職で所属する会社が新年会を執り行った時の事。その会社の社長・専務以下幹部50名ほどが会した。一通り進行が終わり歓談も落ち着いた頃
「最後は隊長に締めて貰おう」との命を取締役より拝し、立場上固辞する訳にもいかず壇上に立ち、簡単な挨拶とともに「では一本締めで閉めさせて頂きたいと思います。お手を拝借」と 「ヨ~ パン!」ひとつ手拍子 皆一斉にそこで終了。隊長ただ一人「シャンシャンシャ・・」と皆が終わっているのに手を叩いていた。当然のように爆笑と失笑が入り混じった騒ぎの中で気まずい心地になってしまった。
赤っ恥である。言い訳しようにも笑いの中誰も取り合ってくれない。普段 皆を指揮する立場にあった隊長が大ポカをしでかした位にしか思っていない。
おい ちょっと待ってよ
江戸前の一本締めは「シャンシャンシャン シャンシャンシャン シャンシャンシャン シャン」である。皆が当然のような顔で「 パン! 」とやったのは「一丁締め」と呼ばれるものだ。いい年をした大人が50人もその場にいて「一丁締め」と「一本締め」の区別がつかない。いや 恐らく「一丁締め」という呼称さえ知らないのだろう。シャンシャンシャン×3回で「九」を 最後の一回で「点」を意味し、要するに「丸」という字を表す。「丸く納めましょう」という意思を皆で表すものだ。
「九十九匹の鼻欠け猿 一匹のまともな猿を笑う」という故事があるが、まさに地でいく話である。下町通を気取っている取締役でさえ皆と同じ反応だ。仕事仲間に対して情けない気持ち100%で帰途に着いた記憶がある。
この日記をお読みの皆さんは正しい「一本締め」を記憶に留めてほしいと願います。そして、今後音頭をとる機会があるときは、あらかじめ皆に説明しといたほうが良いでしょう。勿論 座は一瞬白けますが謂れの無い恥をかくよりはよっぽどましではないでしょうか?ちなみに「三本締め」は文字通り上記の「一本締め」を三回繰り返すものです。
そして締めの音頭取りは主催者が この集まりを滞り無く終了できたことでの皆への感謝を表すもので部下や来賓に依頼するのは、その意義にそぐわない事も付け加えておきます。それとも皆が間違っているのなら間違いに合わせるほうが無難なのでしょうか?
思い出したら腹が立ってきたお話でした。
