
-その1の続き-
この車輌、両ドアに鍵穴が無い。唯一ある鍵穴は物理的に厳しい場所にある。最初の数十分は、どうやったら錠の中が良く見えるかに費やす事となった。
試行錯誤の結果、既存の工具を僅かに改良する事が最良と判断する。
現場合わせによる加工の為、思いの他時間がかかったが何とか完成。で、鍵穴に合わせてみると良い塩梅。ピッキングしてみると予想より遥かに良い。躊躇する事無く一気にシリンダーを回した。
すると、セキュリティーが発動し激しくクラクションが鳴り出す。ゆっくりと立ち上がり周りを見ると、気付いた客さんがこちらに向かい走ってくる。目の前まで来たところで「ありがとう!」と両手で僕の両肩を掴んだ。
全てを完了し現場を後にする。海岸線を走りながら見晴らしの良い場所を探す。浜場からは少し離れた高台に展望が良さそうな所を見付けた。
バイクを降りて海が見えるベンチに腰掛ける。
随分と暫く振りに見る風景。暫し目を細めて冬の海を見つめた
