
とある下町の路上から、2008年ジャガーXKの解錠依頼。お客さんは携帯も閉じ込んでいる為、車輌の近くで待っているとの事。
指定された住所に到着すると何故かXKはパイロンに囲まれ、そして近くにはお客さんらしき人が見当たらない。暫しキョロキョロしていると目の前の交番からお巡りさんがやってきて、「そのジャガーを開けにきた人?」と聞かれた。はいそうですと答えるとお巡りさんは交番を指差し「中にいる女性の方が持ち主ですよ」と教えてくれた。そこには不安そうにこちらを見つめる若い女性が座っていた。
「開くものでしょうか?」と不安気なお客さんにご心配なくとお伝えし鍵穴を覗く。アブロイから代わった新しい鍵は少々癖がある、ですが数分で解錠。ドアを開けてお客さんを見ると、不安気だった顔がクシュと泣きそうになっていた。
お客さんは今日、何かの発表会で東北方面から東京に来た。詳しくはお聞きしませんでしたがリアシートは花束で一杯。その帰り道、友達を地下鉄の駅まで送りちょっと立ち話。その後、地下に消える友達を見届けた処でインロックに気付いた。携帯も閉じ込んでいるので何をどうすればいいのか分からず立ち尽くす。すると目の前の交番からお巡りさんがやってきて「どうしましたか?」と声をかけてくれた。経緯を話すと「取りあえず中に入ってください」と言われ交番内に入ると、他のお巡りさんが車の回りにパイロンを立ててくれた。
「鍵を閉じ込んだのは始めてなんですが、こんなにも怖いなんて…」慣れない土地で携帯を閉じ込んでしまった一人ぼっち状態はさぞ不安だった事でしょう。
ゆっくりと走り去るお客さんを見送った後、交番へパイロンを返しに行く。ありがとうございましたと声をかけパイロンを返すと、「ご苦労様でした、帰りは気を付けて」と敬礼をされた。初老のお巡りさんの笑顔はとても印象的な優しい笑顔。そこには下町の人情味が溢れていました。
