
午前中、ヤマハ・Vmaxのジャンプ依頼で足立区某所まで。
「セルは元気よく回ってたんですがエンジンがかからず、そのうちバッテリーが上がってしまいました」とお客さん。車輌はVmaxのファイナル・エディション、キャブレター車なので始動に失敗して点火プラグがカブッてしまったのかもしれません。ブースターを接続する前にキルスイッチを確認、その後チョークレバーを見ようとしたところで「チョークは引いてますよ」とお客さんが言われた。なんかもう少し引けたような気がする?と思いながらもブースターを接続しセルスイッチを押す。ところが軽く元気に回るセルモーターとは裏腹に、一向にエンジンのかかる気配を感じない。キュルルル ウボッ キュルルルとでも反応があれば「あぁかかりそうだな」と思うのですが、キュルルルルルルルルルルルルルルrrrrと延々回り続けるのみ。こういう時は基本に立ち返りもう一度全てを確認してみます。先ずはキルスイッチ、パチっパチっとON&OFFを繰り返し、その後チョークレバーを触ってみると、まだ動きそうな気配があった。現在のレバーの位置を覚えて一旦戻し、それから再度レバーを動かすとさっきの位置より更に動いた。もしかして?と思いながらレバーに強めの力をかけてみると「クンっ」という手応えの後、いままでレバーがあった位置の倍くらい動いた。これでかかるかも?とブースターを繋いでセルを回すと、一瞬の躊躇もなく1200ccV型4気筒は怒涛の雄叫びを上げたのでした。
今回の始動出来なかった原因は、チョークレバーの固着だったようです。フロートチャンバー(フロート室)に少量の燃料を常に貯めておくシステムのキャブレターは、乗る頻度が少ないとガソリンが気化し澱のようなモノが次第に溜まっていきます。軽症ならばエンジンを掛け、走ってしまえば燃料に流され燃えてしまうのですが、悪化し量が多くなるとキャブレター内のジェット類を詰まらせる原因にもなります。それ以外にも、ガソリンに含まれるオレフィン成分が酸化するとガム質を形成し、それがまた色々と面倒な事を引き起こしたりする事も少なくありません。Vmaxの排気からは古くなったガソリンの匂い(個人的には古い納屋の匂いに似ている気がする)がしてましたので、燃料のガム質形成が進み、それがチョークレバーの動きを渋くしたのではないかと予想します。
これからどんどん温かくなってくる季節。そろそろ冬眠していたバイクの復活を考えている方も多いかと思います。一冬乗られなかったのでしたらガソリンはかなり古くなっています。また、タンク内の結露により水が溜まっている事も少なくありません。特に日の当る所に止めている場合はより顕著になります。追々の不調の芽を摘む意味も含めて、新しいガソリンに入れ替えてみてはいかがでしょうか?
