
埼玉県某所のゴルフ場よりヒュンダイ・XG300Lの解錠依頼。
現着後、速やかに解錠するとXG300Lは大激怒しクラクションが辺りに鳴り響いた。客さんが「セキュリティーは何にも付いてないからねー」と言われていたので僕は思わず飛び上がる勢いで驚いてしまった。お客さんも突然のクラクション連打にビックリしていましたが直ぐに気を取り直し鍵を探された。それから暫し、お客さんが車内にいる間はクラクションの連打が続いた。随分と長い間お客さんは鍵を探していましたが、残念なことに結局鍵は見つからなかったようです。
「おかしい… 車内にもトランクに鍵がないなんて… おかしい… 家の鍵とか会社の鍵とかジャラジャラ大量に付いているので落とすとは考えられないんだよなぁ… ないのはおかしい…」とお客さんは考え込んでいる。僕に残された出来る事はと言えば、お客さんに記憶を辿って頂き現状と摺合せをする事位。と言う事でゴルフ場に来てからの行動を思い返して頂いていると、突然お客さんはキャディバックからクラブを抜き始めた。そして全てを取り出して中を覗くと、なんとその中に鍵束がありました。
「ごめんね… わざわざ来てもらったのにこんな結果で… ごめんね…」激しく落胆するお客さん。それはお気になさらずに鍵が見つかって何よりですとお伝えすると「インロックじゃなかったんだよね… 僕の不注意でこんな所まで来てもらって… 申し訳ない… 最初から僕の手元に鍵が… 」と更に落ち込んでしまった。そしてとても微妙な雰囲気がお客さんとの間に満ち始め僕は何も言えなくなってしまった。
暫し漂った沈黙の後、何とか書類にサインを頂いて現場を後に。ミラー越しに見えるお客さんは、なんとも言えない表情でいつまでも手を振られていた。
