
バッテリー上がりのご依頼を頂きお客さんと合流すると、車輌は暫く乗っていなかったのが直ぐに分かる位汚れていた。「なかなか乗る機会がなくて気が付くと半年近く乗ってませんでした」とお客さん。確かに車の回りは枯葉が取り囲むように吹き溜まっていた。
バッテリーのあるエンジンルームを見る為ボンネットと持ち上げると、埃と一緒に大量に舞い上がったのは動物の毛。雨風を凌ぐ為に車体下から猫が入り込んでいるのに間違いありません。「この毛ってなんですかねぇ…?」とお客さんが気付かれたので猫が入り込んでいる事をお伝えした。すると「えっ!猫がですか?」とビックリされたようですが、この仕事をしていると猫がエンジンルームを寝床にしている痕跡に遭遇する事は時々あります。随分昔、ボンネットを開けた瞬間「にゃー」と鳴いた子猫がうるうるの瞳でこちらに向かって必死にエンジンルームを登ってくるのに遭遇。その時のお客さんと二人で「ひぃ~」とか言いながら次々登ってくるのを捕まえた事があります。その時は結局まだ他にも子猫がいたら怖いという事で、バッテリージャンプはキャンセルでした。
今回も猫が入り込んでいる痕跡があったのでエンジンルームを上から下からよーく観察。生き物がいないのを確認したあと慎重にエンジン始動。「ふぎゃっ!」とか聞こえてこなくてホっとしました。
暖機運転中、ホイール奥にある錆たブレーキディスクを見ながら「こんなに錆るまで乗らないのが猫の家になる原因ですよね。これからはもう少し頻繁に乗るようにしなくては駄目ですね、バッテリー的にも猫的にも。取りあえず色々きっちりと整備して貰います」とお客さん。そして長期不動だったにも関わらず頗る調子の良さそうなエンジン音と共に、車はゆっくりと駐車場を出て行かれた。ちょっとだけギシギシと鳴く足回りの音を伴って。
