
埼玉県某所より、ニッサン・エキスパートの解錠依頼。
車の前でお待ちのお客さんは、一見して憔悴しきっているのがハッキリ分かる程ヨレヨレになっていた。余計なお世話とは思ったが「お疲れのご様子ですが大丈夫ですか?」と声をかけてみる。するとお客さんはゆっくりと重い口を開き今朝の出来事を話して下さった。
昨夜、ちょいとメートルを上げ過ぎてベロベロに酔っぱらったお客さん。それでも帰省本能で何とか無事タクシーで帰ってきた。かなり酔っぱらってはいたが自宅前でタクシーを降りるまでの記憶はあった。ところがそこから先を全く覚えておらず、次の記憶は自宅駐車場の植え込みに刺さっていたのだった。覚醒した理由は寒さからのようだがそれもそのはず、何故だか背広の上着を着ていない。そして財布もなければ鞄もない、オマケに靴まで無く裸足だった。幸いな事にズボンのポケットに入れていた携帯は無事だったので、寝ていた奥さんを叩き起こして自宅に入る事が出来たのは午前6時。最後の記憶から5時間以上が過ぎていた。
記憶のないお客さんは財布も含め持ち物全てがなくなってしまった精神的ダメージと物理的ダメージ、そして衣服や靴まで盗まれてしまった事に激しく動揺していた。「僕はこれかどうすれば良いのでしょうか…?」弱々しく僕に問いかけるお客さん。警察には届けたしクレジットカード類も全て停止したようですが、保険証に関してはまだだったので再発行も含めて役所に相談へ行く事をお勧めしました。
お客さんの話しを聞いて蘇った記憶は昔々の二十歳の時。急用で田舎から来た友人と朝まで呑みまくり、そのままの勢いで上野駅まで送って行った。友達を東北本線に乗せた後、ホっとした為か急に酔いが回り、とても中野まで帰れそうも無くなった僕は西郷さん前のベンチで爆睡してしまった。どのくらい眠ったのか覚えてないが突然顔面を引っぱたかれて起こされた。何事かと僕を引っぱたいた人を見やると「さっき浮浪者がお兄さんの身体をまさぐって財布取ろうとしてたよ。昼間とは言えここで眠っちゃダメ!家に帰りなさい!」と知らないオバちゃんが怒りながら僕の財布を差し出してきた。聞くところによると、爆睡している僕の身体を浮浪者がまさぐっていたので変だなと後ろから近付くと、丁度財布をポケットから取り出したところだった。これはやヴぁいと思ったオバちゃんが後ろから怒鳴りつけると、ビックリした浮浪者は財布を落として逃げて行ったらしい。まだ酔っぱらってボーっとはしていたが、オバちゃんに最大限の感謝を述べて大人しくアパートへ帰った、 ってのを思い出しました。
これから年末に向けお酒の席が多くなるかと思います。思わぬトラブルを招かぬようお酒は程々が宜しいかと(程々にしたいと思います)
