
午前中、ジムニーのガス欠を終えてお客さんから頂いたコーヒーを飲んでいると、ピカピカのバイクが僕の横を通り抜け少し前の方で停まった。真横を通り過ぎる時に鼻腔を突いた匂いからすると恐らく新車と思われます。真新しいゴムパーツに熱が加わって発する匂いとワックスの焼ける匂い。それが入り混じったのは新車特有のとても良い香りです(笑) 車種は恐らくカワサキ・ニンジャ400Rかと思われた。
ニンジャの人はバイクから降りると自動販売機で缶コーヒーを買い、バイクのところまでに戻ると缶も開けずに愛車を色んな角度から眺め続けた。その姿をジロジロ見るのも失礼なので横目でチラ見すると、もう満面の笑みで眺めまくってるんですよ。嬉しいんだろうってのが全身から伝わります。
一頻り眺めた後、今度はスマホでバイクの写真を取り出すのですが何故か僕の方をチラチラ見てます。もしかしてバイクと一緒に写真を取って欲しいのかと思いニンジャ君の方へ顔を向けると、急に背中を見せて写真を撮るのを止めてしまった。どうやら写真を撮ってるのがちょっと恥ずかしいようです。僕もいつまでもチラ見してるのも何なので帰ろうかと身繕いを始めた。
僕がグローブも付け終わりバイクに跨ったところで、買って飲んでなかった缶コーヒーをニンジャ君が全力でシェイクし出した。そんなに振らないでもと思う程の勢い。きっと嬉しい興奮がそうされるんだろうなと、ニヤニヤしながらセルスイッチを押したその瞬間、ニンジャ君の手から缶コーヒーがすっぽ抜け、【ガン!!】という音をさせて車体に当たった後、地面へ落下したのでした。「あああぁぁぁぁ…」と言いながらガソリンタンクを撫でる姿からするとタンクが凹んだか塗装が剥げてしまったようです。その姿を見て一声かけようかとも考えたが思い留まり、何も見なかった&聞かなかった風を装いその場を後にしたのでした。
拠点へ戻る帰り道、満面の笑みの後に見た絶望の表情を思い出すと涙が止まりません。もう今夜はニンジャ君の代わりにヤケ酒を呑む事にします。
