
「いつもバイクをキレイにされてますね」 洗車する僕にそう声をかけてきたのは犬の散歩をするお爺ちゃん。それは今から7~8年前の事です。それ以来、洗車している時や整備している時、または仕事から戻ってきた時に偶然会えば世間話しをする程度の付き合いでした。
それから月日も流れて犬も爺ちゃんも年を取りました。初めて見たとき既に大人だった犬は老犬になり、爺ちゃんも以前よりは随分と小さくなってしまいましたが、それでも二人で日課の散歩はかかさずしていたようです。でも今年に入ってからは散歩する姿を見かける事が少なくなり、ここ最近はとんと見なくなりました。犬がヨボヨボで歩くのも大変そうだったのでそろそろ散歩すること自体が難しくなったのかもしれません。
そんな二人に会うことがなくなったので最近ではすっかり忘れていましたが、昨日、暫く振りに会ったのです。
暫く見かけなかった事を爺ちゃんに聞いてみると、犬の歩行がままならなくなったので散歩の距離を短くしていたとの事。でもそれもどんどん距離が短くなって最後は自宅の回りを一周するだけになっていたらしい。
自宅回りを歩くだけで犬はヘトヘトになるんだけど、かつての縄張りとかを考えると全然物足りないのではないか?本当はもっとパトロールしたいのではないか?そう考えた爺ちゃん。試に婆さんの三輪自転車の後ろに載せてかつての散歩コースを回ってみたら犬は大興奮で大喜びだったらしいんですよね。
そんな話しを聞きながら後ろカゴを見てみると、頗る満足そうな良い顔をした老犬がすまし顔で鎮座してました。
