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細道は得意なはずですが

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ある雨の夜、新宿区の細い路地の入り組んだ現場で解錠を終えた直後の事。広い道に出て帰ろうと思い、勘を頼りにバイクを広い道の方向へ進めました。

角を曲がり下り坂をそろりそろりと進むと道は更に細くなり、下りの階段に行き当たってその道は突然終了してしまいました。

来た道を引き返すしかないのですが、とてもUターンなど出来るスペースも無く、バイクから降りて後ろに引こうにも勾配がキツくてびくともしません。後ろの荷箱には救援道具一式が常に満載で見た目以上にかなりの重量なのです。

右手に握ったブレーキレバーを緩めると一気に前に進んでしまうし、またがったままだと、雨でぬれた路面に体重も乗せられない足の力ではバックすることは不可能です。

とった方法はブレーキを握ったまま、力いっぱいフロントフォークに体重をかけて、戻ろうとするスプリングの力で少しずつバックする。ですがほんの僅かずつしか下がってはくれません。

1~2センチも動けば良いほうで、全く動かないこともありながらも、ただひたすら繰り返す。泣きそうになりながら、いったいどれくらいの時間がかかったのか、降りて押し引き出来るくらいに坂が緩くなった頃には雨合羽の中は、もう全身汗だくになっていました。

それ以来、先のわからない下り坂には近づかないようにしています。

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