
入隊して半年が経ち仕事にもだいぶ慣れてきました。鍵開けの現場でも少しずつ自信がつき「自分もだいぶやれるようになってきたな」と思っていた頃、ひとつ大きな案件が入りました。フェラーリ・プロサングエの解錠依頼です。
現場にはフェラーリ解錠の経験豊富なZ先輩、同期のP隊員、そして私の3人で向かいました。Z先輩は助人のエース的な存在でローマなど電動ラッチ型のフェラーリを何台も開けてきた頼れる先輩です。到着してすぐ、P隊員が養生をして鍵穴を確認。するとZ先輩がひとこと。「鍵穴、斜めに付いてるな。」
ローマの鍵穴は正面にありますが、プロサングエはボディに向かって斜め。そのため工具が干渉しやすく、ディスクも見づらいという、まさにピッキング泣かせの構造でした。まずはP隊員が挑戦しましたが開かず。続いて私の番。
Z先輩の「やってみよう!」という声に背中を押され、ピッキングを始めましたが…見えづらく、手ごたえがまったくつかめません。「開けてやる!」と気合十分だっただけに、少し自分にがっかりしてしまいました。その後Z先輩に交代。数分後「よしっ」という声とともに、鍵穴がクルッと回りました。
私は本当に驚きました。Z先輩の技術の高さはハンパないです。初めて見る鍵構造にも関わらずわずか5分ほどでそこまで到達する。その集中力と感覚の鋭さに、ただただ圧倒されました。
自分も経験したことのある鍵ならある程度は開けられると思っています。吸収も早い方だと自負しています。それでも本当の技術の差というのは、こうした「初見の現場」でどう対応できるかに現れるのだと痛感しました。P隊員もきっと同じ気持ちだったと思います。「次は自分が開ける」そんな気持ちを胸に現場を後にしました。
助人の現場は毎回が挑戦の連続です。でも、だからこそ面白い。そして、これほどスキルアップできる環境は他にないと思います。いつか自分もZ先輩のようにどんな現場でも迷わず開けられる人になりたい。そう強く思った一日でした。
