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笑って流せる器

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高級車のBJ作業はその車の値段もさることながら、複雑なセキュリティやコンピューター制御との闘いで、電子キーが作動しないだけで扉を開けるのにも一苦労で内心ヒヤヒヤすることがあります。

ドアを開けたあとにボンネットを開けるのにもう一手間、と私も先輩隊員に同行し10台以上作業にあたりながら体に叩き込みましたが、まだまだ覚えることは沢山あります。そんな中ついにその高級車を一人で任されることに。

研修で一度作業しただけのグレードで、事前に予習してお客様と合流。「軽くバッテリー劣化しちゃってるかな?」とお客様からヒアリングした内容と照らし合わせながら電圧を測ると12.3V。車種に関わらず始動できそうな電圧があれば「一度かかるか試してみていいですか?」と同意を得た上始動を試みるのですが、今回もその流れで私がエンジンをかけることに。始動時にも一手間必要な車種なので色々確認しながら、いざ始動。

「かかりましたね」「かかったね…」何か気まずそうなお客様。私のいる運転席側に回られたお客様から始動時にどこを押したのか尋ねられたので"START"と表記されたボタンを指さし「ここを、ブレーキを踏みながら押しました」とそのまま説明すると「俺、ここ押してた…恥ずかしい!ガハハハ」と指を指した先にあったのは"MODE SELECT"と書かれた走行モード選択ボタンでした。

私がお客様の立場なら恥ずかしくて顔からマグマが噴火しそうなものをお客様は「ホント恥ずかしいよ?でも覚えました!ありがとう!」と笑いながらお礼して下さりました。エラーも発生せず、エンジンは力強い音を鳴らしながら充電もバッチリ。しばらく乗っていなかったとのことなので1時間ほど走行充電するようお伝えして作業は終わりました。

お客様は私が帰るまでずっとにこやかに「いや?ホント早く来てくれて助かりました。レッカーになるんじゃないかとヒヤヒヤしてたよ」と気さくにお話しされていて、穴があったら入りたくなるような出来事も笑って流せる器を持っている方だからこそ、高級車に乗れるほど成功されたのかもしれないと思った作業でした。

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