穏やかな冬の朝、遅出の出勤を満喫するのも束の間一気に緊急モードへ転換させる要請が入った。
世田谷区の大原交差点にて電話を受けたのは9:35である。渋谷区東にてインロックしたとの事で、難なく引受けようとしたが、驚いたのは、お客さんが10時に車を動かしたいとの事であった。
急いでいる時は、ルート検索に時間をかけないほうが良い。長年培った経験上間違いない。まず、おおざっぱな方向を目標に走り出す。信号の変わり目には右折レーンへ、停止するようなら歩行者になり代わる。その内、後追いになるが最適ルートが確立してくる。まるでパズルのようなものだ。以前上司に「6割以上出来る予測があるならば、トットと仕事に取り組め」と言われたそれに似ている。
さて、現地には9:50に到着した。バイクを降りてからが大変だ。お客さんは、別の場所にある駐車場まで走り出す。小走りはたくさんあるけれど、大きく手を振るのは久しぶり。さながら100m走だ。待っていたのはH11のカルディナ、息を切らしながら鍵穴のぞけばハーフタンブラーがご挨拶。作業開始するも時間が気になってしょうがない。不本意ながら10分後に開錠した。時計は10:03であった。
慌てながらもA隊員「すみません。お時間のほうは大丈夫でしょうか・・」無視するかのように車に飛び乗り、勢い良く車道側へ切り返すお客さん。目の前を通過する瞬間「ありがとう。何とかなりそうです。感謝します。」と言い残しあっという間に去って行った。
沸き立つテンションを抑えながら最後の、感謝という言葉の余韻にひたった。
