父は存命中よくA隊員のことを心配していた。優秀な兄と姉に比べて、体たらくだったからごく自然なことだ。
上京してから「見返してやろう」と思って仕事に打ち込んでも、父は幼少の頃の思い出のままというより輪をかけて心配していて、そのまま倒れた。
そんな父と最後に交わした言葉は、A隊員の今後についてだ。充分すぎる金と権力を手にした父には、とうてい理解できないと分かっていても「お金は飯を食う分で充分、どう生きるかが大事だ」と切り出してみた。父は、この甘えん坊が・・といった顔をしたと思ったら、ニコッとして「そうだな・・どう生きるか・・見付けられるといいな・・」正直予想外の答えだった。
そのまま他界していった父が、今でも心配しているかもしれんと思い近況報告をしに実家へ帰る。
「金にはならんけど、ちょっとした人助けをしとるよ・・」「ようやく見付けられたから、心配せんで眠ってくれ・・」墓前で唱えてみると、みょうにスッキリするとともに腹の底から力が湧いてきた。
きっと父も喜んでいるに違いない。
