宵の口、首都高7号下り線 錦糸町を越えた辺りからCB400SFのガス欠依頼。
詳細を聞いた時に記憶の片隅から蘇るものがあった。お客さんの名前はMさん 性別は女性昔同じ名前の女性に知り合いがいた。当時、彼女はバイク便をしていた。
知り合ったのは確かオウム事件の後くらい、かれこれ11年前になる。ワンルームの部屋で大家に隠しながら中型犬を飼い(隠しきれるのか?)当人は死後の献体提供に登録をしていると言っていた。およそ化粧気が無く、ホンダのVT250Zを心から愛し、Tシャツの裾がちょっとだけジーパンからはみ出し、そして何時も真っ黒に汚れた顔でバイクに乗っていた。そんな女性だった。最後に会ったのは7年前…懐かしい記憶を思い出しながら現場に向かう。
7号線錦糸町付近は路側帯が無い。目標は非常退避帯。錦糸町入り口を越えて暫く行くと退避帯に停車しているバイクを発見ウインカーを出しポンピングブレーキで後方に注意を払い減速する。退避帯に滑り込むと同時にすぐ横をトレーラーが怒り狂ったように何台も通り過ぎる。真っ暗で轟音鳴り響くなか、お客さんに近づくとそこにはMがいた。「あ"ーーーーーーーーーーっ!!」お互いに指を差し合ったまま暫し固まった。あまりの偶然と懐かしさで話が止まらなくなりそうだったけど、場所が場所なので速やかに給油し高速を降りる事に。一番近い小松川出口で高速を降り自動販売機を目指す。そこで缶コーヒーを買い質問合戦となる。
犬は3年前に老衰した。彼氏が出来て同棲したが振られた。そしてまだバイク便を続けている。彼女から聞き出したのはこんなとこだった。
ひとしきり話をした後の別れ際、僕の「まだバイク便を続けるのか?」の問に彼女は微笑んで「天職だから」と答えた。
