
「めずらしく優しい所を見せようとするからよ」ヘコんだお父さんへ、お母さんが話しかけた。
どうやら、お父さんが車で路上待機していて、買い物から戻ってきたのがお母さん。荷物運びを手伝おうとして飛び出したところ、インロックしてしまった様子。
開錠はすぐ終った。「いや、ほんと申し訳ないことです・・」お父さんは、両手いっぱいのビニール袋を、車へ積み込む。「すみませんね。おっちょこちょいで・・」お母さんからは、缶コーヒーを頂いた。
帰り道、吾妻橋で缶コーヒーを飲みながら、ふと考える。冒頭「めずらしく優しい所・・」というのはウソだろうと思った。
あんなに落ち込んでいたお父さんが、帰りは満面の笑みを浮かべていたのだ。頭に手を当てながら、お母さんにつつかれてたっけ。
