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Mercedes E-Class

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他の業者さんがドアを開けたがトランクが開かない。と言う下向き鍵穴のEクラスを解錠する為に埼玉県某所まで。

帰宅ラッシュも一段落した時間で道は空いていた。快適な車の流れの中、望んではいないモノが空から落ちてくる。ベンツの下向きトランクでは、極力雨は避けたいところ。と言ったとしても自然現象には逆らえません。ですが、可能なら降られる前に作業を終えたいと言うのは正直な気持ち。

指定されたゴルフ場まであと少しと言う辺りで路面は完全に色を変えた。前を走る車のタイヤからは水飛沫が上がっている。見たところで変わる筈が無いのに信号待ちの度空を見上げてしまう。「作業の一時、雨が止んで欲しい」切なる思いを胸に現場へ向う。

出動から30分弱でお客さんと合流。聞くところによるとインロックしてから既に4時間以上が経過しているとの事。許される時間が少ない事を把握する。直ぐに開けたい気持ちとは裏腹に視界を阻む雨。…これでは時間がかかってしまう……でも、この状況では仕方がないかもしれない…弱気な思いが頭をもたげ始めた時、チャールズ・J・サイクスの言葉が頭に浮かんだ。

『世界は君の自尊心を気にかけてはくれない君の気分に関係なく世界は君が仕事を終わらせることを期待している』

冷静に状況を把握し臨機応変に対応する柔軟さは必要。だが、その裏で言い訳を用意して仕事をしてはならない。それは後ろ向きな考えだからである。第一、言い訳を用意したところで良い結果が生まれる筈も無い。今自分は言い訳を用意しようとしていたのではないか?目が覚めると同時に猛省した。心配そうに「雨だけど大丈夫?」と気にかけて下さるお客さんに、「お心遣いありがとうございます。問題ありません」と笑顔で答える。そして「観えないのではなく視るのだ」と心の中で呟き最初のディスクを弾いた。

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