
最近、ある素材を加工する仕事の方と話をさせて頂いく機会があった。その加工技術に関して全く無知な僕にとっては、興味のある話を聞けて大変勉強になりとても有意義な一時。ですが、ワクワクしている僕とは裏腹に、不況の波による利益激減の今、会社を運営する上での不安も語られた。
「僕は趣味が高じて今の仕事に就いたので技術以外の事に頭が回らなくて。で、いざ新しい何かを作ろうと思っても全然思いつかないのです。他の人にこんなの作ってみたら?と言われて初めてやってみようかな?って調子なんですよ。でも流石に最近これじゃ駄目だと気付いて今頑張り始めたところ。遅いんですけどね」
そう言って笑われた。
「興味があり始めた趣味、それがいつしか仕事に繋がった。他から見ると劣悪な環境に見えるかもしれないが全く苦になりませんよ。敢えて格好付けさせて貰えばこの仕事が好きだからこそです。でもまぁなんだかんだで愚痴ってしまいがちな辛い時期ではありますけど、続けますよこの仕事。これしか出来ないってのもありますが、良いもの作りたいってのが一番です」
最後はちょっと照れ隠しで自嘲気味でしたが男前な言葉に職人としての意地が心地よく胸に響いた。
小一時間も過ぎ、そろそろ長居も迷惑かと思い引き上げようとした時、「ニャーニャーニャー」と工場の入り口で猫が鳴いた。そしてそのままニャーニャー鳴きながら奥の方へ入って行く。なんでずーっと鳴いているんだろう?と思いながら目で追っていると、「あ、あれウチの従業員、ちゃんと挨拶して中に入るんですよ。最近子供を産んで、合計5匹になってしまいました。仕事はネズミとゴキブリの捕獲でそれが報酬です。で、親猫を見てると頑張っているな思うんですよ。それを見て僕も頑張らないとってね。食べて生きて行かなきゃって」
お腹まで縞々の子猫のお腹を撫ぜながら彼の言葉を反芻する。そして猫達がここに居る意味と理由がなんとなく分かったような気がした。多分それは片利共生ではなく色んな意味で相利共生じゃないかと。
それにしても子猫めんこい。
