
いつもご贔屓にして頂いている駐車場管理会社様から、長期間放置されたオペル・ヴィータの解錠依頼。指示された車輌に近付くと、車の回りに何かが飛び交っているのが見える。それは蚊やハエよりは大きな虫に見えたが、車のすぐ近くまで行くとどこかに飛んで行ってしまった。解錠中回りを飛びまわられるのは気が散るので、どこかに行ってくれたのはありがたい、ただでさえ蚊との戦いに必死なので。
ヴィータの右ドア前にしゃがみ込み準備を始めると、どこからともなく「ブーン」と虫の羽音が聞こえ、それは結構大きい昆虫の羽音に感じた。「さっきの虫だな」と辺りを見回すが、音の元となる虫は見つけられなかった。気を取り直して鍵穴を覗くと、またも近くで虫の羽音。顔を上げて音を追うがまたも見当たらず、やがて羽音も聞こえなくなった。「早くこの場を離れた方がいい」と僅かに残る僕の野性が訴えかける。視認出来ていれば対処の方法も考えられるが、見つけられない以上如何ともし難い。それは真後ろや暗闇を怖がるのに似ているかもしれない。見えない敵は怖いのです。ちょいと大げさに考えたりしましたが、要は解錠を終わらせその場から離れる事が得策。と言う事で速やかにヴィータの解錠を完了させた。ノブに手をかけドアを開けようとしたところでまたも羽音、それも今度は複数。急激に動くのはやヴぁいと思いドア開けの動作を止めた。そして音の方に目をやると、僕の頭上50cm位のところに黒地に黄色が映えるギャラクシアンがいた。独特のU字移動をするその昆虫は蜂、それも2匹。そしてその蜂達はどう考えても僕の方を狙っているようにしか見えない。硬直した身体と、それと正反対に激しく思考する頭の中にはアナフィラキシーの文字が警告灯の如く瞬き、「MayDay! MayDay!」と以前映画の中で聞いた緊急コールが耳鳴りのように木魂した。
彼ら昆虫は、対哺乳類のように睨み合いという目による威圧は受け付けない。特に直情型本能遂行タイプの働き者達は突然襲いかかって来るので、狙われたなら一刻も早く逃げなければならない。ですが浅はかな僕は、相手は僅か2匹と高を括り、依頼完了を優先させノブを引きドアを開けた。すると開けたドアの隙間から別の蜂が数匹飛び出してくるではないですか!もう高など括っている場合ではないので、ドアを全開にしホイールスピンする勢いで逃げた。昔、陸上の短距離で鍛えた足は、0スタートから猛烈な勢いで10m程を駆け抜けた。逃げ足に関しては今だ俊足を誇ります。
呼吸が落ち着いたところでヴィータを見ると、回りを飛んでいた蜂が散り散りに消えて行くところだった。完全に見えなくなったのを確認した後、それでもちょいとビビりながらゆっくりと近付いてみる。そして車の回りを慎重に観察するとどうやら完全にいなくなったようだ。ほっとしたと同時にドアを開けた時に中から出てきた蜂を思い出し「なぜ車内に?それも数匹??」と疑問符が。もしやと思い中を覗こうとしたら… ちょwwwwwww ドアの隙間に蜂の巣が! で、蜂さんがまだいらっしゃったw
雨風が凌げるので蜂にとって良い巣作り環境になっていた放置車輌。猛烈にビックリしましたが、それと同時に自然に生きるモノの逞しさと強かさを感じたのでした。
