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ニッサン・キャラバンの解錠で訪れた埼玉県某所。作業は滞りなく完了し、少し離れた場所に移動し終了報告の為バイクを止めた。携帯で電話をかけ、コール音を聞いていると背後から犬の鳴き声がしてきた。それは随分と近い場所で、そしてかなり大きな犬の鳴き声に聞こえる。ちょうどアシスタントさんが電話に出たので受話部を手で覆いながら後ろを振り返ってみると、そこには飼い主に激しくジャレるレトリバーがいた。流石にちょいと鳴き声がうるさかったので背を丸め荷箱の陰に隠れながら終了の報告をした。

電話を終えたところでもう一度犬の方を見ると、飼い主の手に余る程の暴れかた(ジャレかた)をしている。手綱を持つのは中学低学年くらいの少年、これから散歩に行くのだろうが、あの暴れっぷりだど相当疲れるんじゃないかと他人事ながら少し心配した。その後、荷箱に書類をしまいヘルメットをかぶった所で「あ!!ああぁぁ!!△※●□!!ダメだってぇぇl!!」と少年の声が聞こえた。と思ったら僕は突然後ろから蹴飛ばされたような衝撃を受けた。あまりの勢いで僕はバイクに激突し、更にその勢いでサイドスタンドで停めたバイクが右に倒れそうになる。突然の不意打ちでバイクもろとも右に倒れるんじゃないかと思ったが、何とか辛うじて持ち堪える事が出来た。その必死になって倒すまいと踏ん張っている間も、後ろから何度となくもアタックされていたので、一瞬にして頭に血が上った。なんてことするんだ!冗談じゃない!!と激怒りで振り返ると、今度は猛烈な勢いで顔を舐められた。そうです、そうなんです、とんでもなく理不尽な事をぶちかましてくれたのはレトリバーだったのです。「すみません」と小さくなっている少年に怒りの矛先を向ける訳にもいかず。ですが絶対に言わなければならない事がある。極力平静を装う為、大きく深呼吸をしてから少年に話しかけた。「これが小さな子供だったら大怪我をするし、相手が車の場合は犬も怪我を負った上、車にも損害が発生する。今回のように君が犬を制御できずリードを離してしまう事があるなら、君が散歩をさせてはいけない。それに犬の体格から考えると強烈に引っ張られた場合、君が怪我をしてしまう」と諭し自宅へ戻るように言った。ちょっと落ち込んだ少年と、それをモノともせずはしゃぎまくるレトリバー。来た道をトボトボと引き返し(犬、それに非ず)、直ぐ近くの自宅に戻るまで見送った。

気持も落ち着いた所で何気に視線に入ってきたのは、シートにハッキリと残る3本の引っかき傷、それはシートカウルにも続いていた。激しくがっかりすると同時に、犬の行動を制御できない少年と、全く躾が出来ていない犬の事を思い、如何ともし難い気持だけがどっしりと重く心に残った。

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