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大勢の前で

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昼前、BMW・320iの解錠依頼で某所の施設まで。

お客さんに案内され車の所まで行くと、何故かそこには100人以上のスーツを着た人達がいた。あまりの人の多さに正直ビビリましたが、直ぐに気を取り直し320iのドアに張り付き準備をした。作業を始めると少しザワザワしていた人達が静かになり、そして「BMWってどうやって開けるんだ…ヒソヒソ…」「前に僕が閉じ込みをしたときは…ヒソヒソ…」「昔とやりかたが違うんだね…ヒソヒソ…」「BMWって鍵を閉じ込むと開けられないって聞いた事あるんだけど…ヒソヒソ…」「背中に助人って書いてあるね…ヒソヒソ…」って聞こえてくるんですよw もう凄いプレッシャーです。あぁもぉこれはサクっと開けてスマートな助人を演出しなくては!とかなんとか邪まな思いがフツフツと沸き立ってくる訳なんですが、ふと自分の置かれている状況を思い返すと、これはショーではなくお困りのお客さんの問題解決なんだと、本来の自分の立場が脳天に突き刺さりました。僕がプレッシャーを感じるような回りの状況と言う事は、閉じ込みをされてしまったオーナーさんはとても居心地が悪い筈。そう考えると興奮していた頭が冷静になりプレッシャーはどこかにすっ飛んで行きました。

作業を初めて数分、「どのくらいで開くのかな…?…ヒソヒソ…」そう耳に入ってきたところで最後の謎解きを済ませ錠前を回す。ドアノブを引く前にお客さんへ小声で「開きました」とお伝えし、その後ゆっくりとドアノブを引いた。すると回りに居た人達から「おぉー!」っと言う歓声と共に拍手が湧き上がった。人数が人数だけに結構な勢いの拍手に圧倒され、面喰い、そして暫し立ち尽くしてしまいました。

お客さんを見送った後、回りに居た人達が少し離れた建物に移動する後姿をぼーっと眺めていた。ここに来て緊張の糸が切れた僕に軽い脱力感がまとわりついてくる。背中を丸めてダラシない姿勢になりそうなところをグッと堪えて見上げた空は、羊雲がゆっくりと流れるキレイな秋晴れでした。

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