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鼻水

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若い女性のご依頼でホンダ・フィットを解錠していると、視界の隅に猫が歩いているのが見えた。のっそりのっそり歩く猫を見つけたお客さんが「あ!お隣さんとこのタマちゃんだ。タマちゃ~んおいで~」っとしゃがんで猫を呼んだ。呼ばれた猫は躊躇なく90°方向転換をしてお客さんの方へ。その急ぐことなく変わらぬ速度でのっそりと向かう様はなかなかの風格です。猫が近付くにつれ「え! あ! あー」と若干戸惑っているようなお客さんの声。気になったので振り返ると、後ずさりするお客さんへのっそりのっそりと近付く猫の後姿が見えた。今さっきご自分が猫を呼んだのにいったいどうしたんだろう?と思っていると、お客さんは「タマちゃん来ないで!!キャー キャー アハハ!」と笑いながら逃げて行ってしまった。ぽつんと残された猫は逃げて行くお客さんを目で追いながらゆっくりと僕の方へ振り返った。その顔はびよよよ~んと鼻水が垂れていた。3~4cmもの鼻水をプラプラさせ、目もシバシバと瞬きをしている顔はどう見ても鼻風邪を引いている。猫とは言え苦しそうな顔をしてました。

お客さんが出かけられるのを見送った後、ちょっと気になったので猫を探してみるとお隣の玄関先に座っていた。近付いて「タマー」と呼んでみると以外にも僕の方へやってきた、勿論鼻水をプラプラさせて。まさか来るとは思わなかったのでそのまましゃがんで待ってみる。でも鼻水付けられるのもやだな~とか思っているとタマがくしゃみをした。するとくしゃみの勢いで鼻水がどこかへ飛んで行った。お!ラッキー!これで安全か?と思ったら今度は反対の鼻の穴からびよよ~んと鼻水が垂れてきたのでした。

長く厳しい今年の冬。人間のみならず猫も春を待ち焦がれている事でしょう。そんな事を考えたりして、タマの頭を撫でながら後退りした、春待ち遠しい昼下がりだったのでした。

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