
国産高級車の解錠依頼。現場には若い小柄な女性がお待ちだった。
一通りの事前確認の後、作業に入ろうとすると「運転席側は壊れてしまっているので開かないと思います。助手席側を開けて頂いても宜しいですか?」とお客さん。イタズラか何かで壊されてしまったのですか?とお聞きすると、ちょっとモジモジされて「あの~… 実は今さっきなんですけど… 私が壊してしまって…」と俯かれた。お客さんがご自分で何とかしようと鍵穴に何か入れたのかな…? 余計な事を聞いてしまったのかもしれないと少し後悔しながら助手席側の鍵穴を覗いた。
解錠後、僕が車内に入り運転席側のロックを解除、車内のノブを引いてドアを開けた。お客さんは運転席側から車内に入り後部座席に置いた鍵を取った。助手席のドアを閉め運転席側に回ると、そこには本来ドアにある筈のモノが丸まんま無くなっていた。それはドアノブ。引き手の部分だけが全て無くなっていた。一瞬何故こうなったのか理解が出来ずに固まっていると、「普通に引っ張ったらモゲちゃたんです…それで焦っていたら鍵を閉じ込んじゃって…これって直りますか?」と言われるお客さん、そのすがるような目は本当に困惑していた。
今日、どうしても車が必要だったらしくお客さんは父さんに車を借りた。自宅を出る時に「ブツけるなよ。壊したら弁償だ」とキツク言われていたので細心の注意を払い運転していた。何とか無事に用事を済ませ、さて家へ帰ろうかとドアノブを引くと、何故だかボロっとドアノブがモゲてしまった。お客さんはお父さんが大切にしている車を壊してしまった!怒られる!と混乱。そして何かの拍子にインロックしてしまったようです。
乱暴に扱ったり何等かの不注意で破損した訳でないのでしたら、お父さんもきっとそれは理解してくれると思います、とお客さんにお伝えする。それで少し安心して貰えたようで、ホっとした笑顔でお客さんは自宅へ戻られました。
それにしてもドアノブがモゲてしまうなんて予想の範疇を超えたトラブルです。お客さんも相当ビックリしたと思われます。
