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台風の晴れ間に、東京東部の下町にてパッソのインロック。不安になるくらい不自然な高速移動する雲を見ながら現場に向かった。

指定住所は下町の深い深~い所。入り組んだ一方通行と時間指定の歩行者専用道路に悩まされながらも何とか指定の住所に到着。でもそこには駐車場や一階が車庫になっている建物は見当たらない。隣り合った家屋が膝を突き合わせるかのように立ち並ぶとてもディープな一帯。お客さんへ連絡する為携帯をポチポチ押していると、バイクを止めた直ぐ横の家にある小さな窓が突然勢いよく開いた。ビックリして窓の方を見ると若い女性がジっとこちらを見ていた。何となく見つめ合ってしまい少し気まずい雰囲気。誤魔化すつもりで携帯の通話ボタンを押すと、窓から覗く女性が着信している携帯を取り出し「もしもし」と言った。その声は僕の携帯も通してステレオで聞こえてきた。

少し離れた駐車場でパッソを解錠し書類を作成していると、「家のある場所は難しくなかったですか?」とお客さんに聞かれた。実は以前直ぐ近くまで来た事があり、その時の記憶が残っていたので今回はスムーズに来れましたと正直にお伝えした。するとお客さん「この辺りを歩くと日本もアジアなんだなって思いませんか?」と聞いてこられた。そう言われると確かにそんな雰囲気があるかも?よしずやすだれが並んだ軒先で団扇をパタパタしているお婆ちゃん。縁台に片膝立てて座りながら将棋を指すお爺ちゃん達。打ち水をする豆腐屋のオバちゃんに、そのオバちゃんと談笑しているカンナ片手の大工さん。

「思春期の頃はここが嫌いで実家を出たくてしょうがなかったんですよ。でも今は逆に凄く落ち着くんですよね、ここにいると。時々鬱陶しい時もありますけどねぇw」とお客さんは笑われた。生まれ育った場所は故郷、それは都会でも田舎でも変わらないんですよね。

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