
某ヨーロッパ車の解錠依頼で、タワーパーキングのエレベーターから車が降りてくるのを待つ間、「最近の車は鍵を全部無くすと物凄い金額がかかるものなの?」とお客さんから質問を頂いた。他社も含めた一般的な話になりますが、殆どの場合キーシリンダー以外にECU=エンジンコントロールユニットと言われる点火等を主るコンピュータの交換が必要になり、その際は部品代だけでもかなり高額になる事が殆どのようですとお伝えする。すると「ディーラーさんにもそう言われたんだけど何故コンピュータの交換が必要になるの?」とお客さんの表情に不安そうな陰りが出てきた。最近の車にはイモビライザーと言う”鍵の認証システム”が車に搭載されており、予め登録されたキー以外ではエンジンが始動出来ないようになっています。登録済みのキーが一個でもあれば認証によりセキュリティー解除が出来、新たなキーの追加登録が可能(条件あり)なようですが、全くなにもなくなってしまった場合は認証によるセキュリティー解除が出来ず、キー追加が容易に出来ない仕組みになっています。顔認証システムで通過できる扉があるとします。認証システムに顔を登録済みのAさんが、未登録のBさんを連れてきて一緒に扉を通ります。Aさんの顔でセキュリティを解除しているのでこれは問題なく扉を通れます。そして中に入ってから新しく連れてきたBさんの顔を登録すると、次からはBさん一人でもその扉を通る事ができます、これがキーの追加になります。AさんBさんが問題なく使えていた扉ですが、両者とも急な出張で海外へ行ってしまい長期間いなくなってしまいました。そこで業務を引き継いだCさんが扉の中に入ろうとしましたが、Cさんの顔を認証システムに登録するのを忘れていた為セキュリティーに弾かれて中に入る事が出来ません。困ったCさんは業者を呼んで扉のロックを解錠し、システムを作った会社に連絡し、全て新しいモノへと交換して貰います。ですがこれは大掛かりな工事になる為、時間と高額な支払いが発生してしまいました。これがECU交換が必要な場合に当たります、と簡単に説明させて頂いた。
エレベーターの扉が開き車が現れると、目を瞑り僕の話しを「うんうん」と聞いていたお客さんが顔を上げ、「そうか…やっぱり高額な出費は仕方ないんだね…」と呟かれた。もしかして鍵なしですか?とお聞きすると「いつも使っていたのは紛失してしまったんです。で予備がある筈なんですが家中探したけど見つからないんですよ…?」と肩を落とされた。解錠後に車内をくまなく探しましたが、やはり鍵は見つかりませんでした。
その日の夕方、見慣れない番号から携帯に着信があり出てみると、昼間の某ヨーロッパ車のお客さんからで「予備の鍵がありました!娘が持ってました。いや~良かったですよ~。もう怖いんで直ぐディーラーさんに鍵の追加をお願いしました!!」とのご連絡頂いた。予備キーが見付かって本当に良かったと僕も一緒に大喜びでした。
イモビライザー車でキーを紛失してしまった場合、新たなキーの追加は早目にしておくのが安心かと思います。皆様もキーの紛失には充分お気を付け下さい。
