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生き物故

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都内某所にて国産乗用車の解錠依頼、現場は複雑な住宅街の中にある袋小路の奥との事。

一方通行の為、渦を巻くように左折左折で現場付近へ。指定の住所を一回りすると袋小路を発見、そして奥には依頼車輌が見えた。現着連絡をしながら車輌に近付くと、お客さんの車の上には数匹の猫が乗っていた。ボンネットに足跡をいっぱいつけてのんびりと日向ぼっこをする猫。それ以外にも、車の横や下にも同じような色合いの猫が数匹、間延びしたようにくつろいでいた。僕が車に近付くにつれ、一匹また一匹と車から離れどこかへ消えていく。全部似たような色合いなので一族なのか?と思ったところでお客さんが登場。猫が一斉に蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。

解錠作業をしていると先程逃げて行った猫が「にゃー」と鳴きながら近付いてきた。甘えたような鳴き声なので、御近所の飼い猫ですか?とお聞きしてみると「これ全部野良なのよ。ほんと困ってんのよね」と大きな溜め息を付かれた。どうやら袋小路を囲むように建つ八件の家のとある一家が、野良を餌付けをしているらしい。最初は数匹しかいなかった野良ですが、安全にたらふくご飯が食べられる環境を手に入れたもんだらかあっという間に数を増やし、今では9匹の大所帯になっているとか。野良と言えども食生活が安定しているので毛並みはつやつやで、おまけに環境が安全なのでそれ程人を恐れなる必要を感じなくなっていた。そしてその袋小路に入ってくる人はご飯をくれる人との認識になり、僕にまで甘えた声を出しながら近付いてくる始末です。

「この猫達のせいで私の車は引っ掻き傷だらけになったのよ、酷いと思わない?」お客さんの声には諦めが混じっていた。可哀想だから、カワイイから、それだけでは済まないのが現実。生き物が故、更に難しい問題です。

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