
まだ凍結が路面に残る中、光岡・ガリューの解錠で埼玉県某所まで。
解錠を終えて少し移動、自動販売機があったのでコーヒーでも飲もうかと日当たりのよい場所にバイクを停めた。熱々になっていた缶コーヒーのステイオンタブを起こし、一口すする。すると何処からともなく声が聞こえてきた。「ご苦労様です」そう聞こえた気がした。声の方へ耳を向けてみたが、聞こえてきたのは直ぐ近くで作業をする、路面に張り付いた氷をスコップで砕く金属音だけ。「気のせいだったかな?」、もう一口コーヒーをすすると、またもや微かな声が耳に入ってきた。「寒いのに大変ですね」今度は真後ろからハッキリとそう聞こえた。おもむろに振り返ると、そこには小さな好好爺がタバコを吸いながら日向ぼっこをしていた。
「ご苦労様です」「まだまだ道路は凍ってますので気を付けて下さい」「滑って転んで怪我しないで下さいね」
たまたま爺の家前に停まっただけの、見も知らぬ僕を気遣ってくれる言葉がありがたく嬉しかったので、「日向で暖かく感じますが、実際の気温は低いので、爺ちゃんも風邪ひかないようにね」と僕は言った。それを聞いて爺ちゃんは「ありがとう」と一言。その後はニコニコしながら美味しそうにタバコを吸っていた。
コーヒーを飲み終えたのでヘルメットをかぶりエンジンをかける。出る前に今一度後ろを振り返ってみると、爺ちゃんは玄関先にあったCD125のタンクをポンポンと叩いから僕に手を振った。
バイクに乗る者同士の仲間意識ってのがあったりします。爺ちゃんもバイク乗りなので、僕を心配し声をかけてくれたのでしょう。その気持ちはとてもとてもありがたく、コーヒー以上に温まりました。
