
6/23の翌々日の深夜。「某アメ車のリモコンが利かなくてドアが開かないんだけど何とかなる?」と、ある車屋さんからの問い合わせ。どうやら最近車輌を販売したお客さんが困っている模様です。
現着後、車屋さんへ連絡しお客さんを呼んで頂く。暫くすると少しイライラした雰囲気を漂わせたお客さんがやって来られた。そして開口一番「車屋は何か言ってましたか?」と結構強い語気で僕に詰め寄ってきた。その剣幕に押されながらも、詳しい事は何も聞いていなかったのでその旨を正直に伝えた。するとお客さん、携帯を取り出すとどこかへ電話をかけ「何にも分からない業者を寄こして何考えてるんですか?もういい加減して貰えません?そちらのせいで僕は物凄い迷惑と損害を被ってるんですよ!」と怒鳴り出した。
暫し背を向け、携帯でやり取りしていたお客さんが突然振り返り「スミマセンがちょっと電話に出て頂けますか?」と僕に携帯を手渡す。その携帯を耳に当てると、電話口は依頼の車屋さんで「ああぁぁ助人さんだっけか…申し訳ないんだけどそこのアメ車のドアを開けて動くようにして貰えます?料金は幾らかかってもいいから。支払いは取りあえずお客さんに立て替えて貰って下さい」と一気に話すとブツっと切られてしまった。ツーツーと鳴っている携帯を手渡しながら恐る恐る支払いの事を聞いてみると「承知してます、作業完了後に清算しますので」とお客さん。先程の怒りは少し納まり、その代わり憔悴したように見えた。
トラブルの状況はと言うと、3日前に納車された車に乗ろう思ったら、後付セキュリティーを兼ねたリモコンでドアが開かないらしい。鍵はイグニッションに挿したままでドアの開け閉めはリモコンオンリーだったとの事。状況からするとバッテリー上がりの可能性が無きにしも非ずですが、取りあえずはドアを開けてみない事には何とも言えません。
と言う事で早速作業に入ろうかと鍵穴に工具を取り付けると… なななんと言う事でしょう…それだけで鍵が回ってしまいました。振り返れば解錠作業も結構な年数をやっている。開けた台数も数千台に上るので、とうとうピッキングすることなく、念じただけで鍵を開けられる程の高みに到達したか、この俺は… それとも今ここに、解錠の神が舞い降りたのか…?… と言う冗談が一瞬脳裏に浮かびましたが、直ぐに現状の異常さが恐怖に近い感覚として襲ってきた。ええっとこれって変ですよね…? 心の中で自問自答しながら解錠方向まで回ってしまった鍵穴をそのまま反対に回してみる。すると何の抵抗もなく反対側まで回り切りコクっとロックのかかる音がした。もう一度逆に回すとカチャリと解除の音。ハッキリ言ってドアの内側からサムターンを回すように施錠解錠が出来る状態です。猛烈に意味が分かりません、鍵の意味がありません、全く役に立っていません。かなり混乱していたので一息深呼吸。息を吐ききったところでドキドキしながら鍵穴を覗いてみると、何故だか中には何も入っておらず、スコーンと一気に奥まで見える状態。これじゃ鍵を挿さずともクルクル回る訳です、機能するモノが存在していない訳ですから鍵の意味が無いのは当然です。
鍵の事をお客さんに説明すると超激怒し、車屋さんはそんな事はあり得ないと信じて貰えない。あと僕に出来るのは上がったバッテリーのジャンプだけです、もう二人とも僕に怒るのは止めてください(涙)
