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夜を越えて

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「鴨川なんですが来ていただく事は可能ですか?」 早朝にご連絡頂いたお客さんは2007年メルセデス・S550のトランクインロックでお困りだった。現場は最寄り拠点からの距離が100km程あり、また出勤時間とも重なる為少し時間がかかると予想。その現着時間とトータル料金をお伝えしたところ承諾を頂いけたので早速高速に乗り、今季一番の冷え込みのなか鴨川を目指した。

アクアラインから館山道の君津で降りて房総スカイラインへ。200m位の山の尾根を通っているスカイラインの空気はピリリと冷えて心地よい。スーハースーハーしながら大塚山の横を抜けていると、コンクリートで固められている側壁を流れる水が凍っていた。山は秋を越え着々と冬に向かっているんだなぁと実感しちょっとだけ郷愁。

そんなこんなで鴨川有料から里に下りてS550が停めてあるコンビニに到着。お客さんと合流後、作業をしながら話しを伺うと、インロックしてしまったのは昨夜の事で、深夜に一度違う鍵屋さんにドアを開けて貰っていたらしい。でもドアを開けてもトランクが開かないのがメルセデス。結局その業者さんはそこまででトランクを開ける事無く帰ってしまったたとの事です。真っ青に晴れあがった空の下、お客さんの顔に色濃い疲労が見て取れたのは昨夜からの奔走に因るモノだと理解しました。

「これで問題が解決される」と一瞬でも安堵した後の期待外れは人の心を酷く疲労させます。まして深夜+遠方ともなれば絶望感さえ抱いたとしても不思議ではありません。そんな夜を乗り越えたお客さんの重い心を軽くするのはトランクを開ける事以外にはありません。と言う訳でいつも通りのトランクピッキングは数分で解錠に成功。オートクローザーでやたらと重いトランクを優しく持ち上げると、これまたいつも通りにクラクションの嵐。激しく怒り狂うS550のパックリ開いたトランクを見たお客さんの表情は、本当にホッとしたの一言に尽きました。

お客さんを見送った後、一人残ったコンビニでぼーっとしていると、ツーリング中らしいライダーが何人か前を通った。バイクで走るには最高の天気と気温。ついつい僕もツーリング気分で清澄養老ラインから大福山の林道を通って帰ろうかと思ったのは秘密にしておきます。

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