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責任は自分

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一仕事終えて自販機前でコーヒーを飲んでいると、突然背後から絹を引き裂く絶叫系のヒドいブレーキの鳴き音が聞こえた。そのあまりの音量にビックリして思わず肩をすくめ振り返ると、十字路の停止線手前でGB250が転倒していた。周りに他の車輌や人は見当たらず、何故転んだのか検討がつかなかった。ライダーは大事に至らなかったようで地面に座り込んでいる。大丈夫そうには見えたが一応声をかけながら近付くと、足がバイクに挟まれてるので助けてほしいとのこと。取り合えず左に倒れたバイクを引っ張って足を抜いて貰いバイクを起こす。その後、移動させようと思ったら何故だかバイクが動かない。フロントディスクがひん曲がったか?と思ったがそうではなく、リアブレーキペダルが下がったままになっているのが動かない原因だった。何でペダルが戻ってないんだ?と思いながらも下がりっ放しのブレーキペダルを手で引き上げるとパコンと正位置に戻った。バイクを移動してGBオーナーに転んだ理由を聞いてみると「ブレーキをかけたら突然制御不能になった」とのこと。ブレーキペダルが下がったままになっていたので制御不能の原因はリアのロックじゃないかと。

バイクのリーディング・トレーディング式ドラムブレーキのペダルが下がりっ放しになる理由は二通り考えられます。まずはブレーキペダルやブレーキカム等の可動部のグリス切れによる固着。もう一つがドラムブレーキとしての使用限界を超えてしまった場合です。

「何で突然ロックしたのか…?」釈然としないオーナーさんと車輌の破損状況を確認していると、リアブレーキの使用限度を示すウェアインジケーターがほぼ限界に近い位置にあることに気付いた。原因はこれか?とブレーキペダルを押し下げてみると、インジケーターは使用限度を遥かに越えてました。どうやらここが原因で間違いないようです。という事でブレーキの使用限度を越えてるようですよとオーナーさんへ伝えると、「最近ブレーキシューを交換したので問題ない筈」と言う。いえいえシューを交換したとは言えインジケーターが使用限度を指しているのでブレーキとしては駄目なんですよと説明しても、「新しいモノに交換したので問題ない、インジケーターがおかしい」とオーナーさんムスっと不機嫌になった。もうなんだかなぁ…と思ったが、一応ドラムブレーキのウェアインジケーターの役目を説明した。ブレーキカムとシューの力点は、通常 Ξ の様な位置関係になっており、ブレーキをかけた時だけ真ん中のカムが斜めにコジる形の Z 状態になる。そしてブレーキを緩めるとスプリングの力でまたΞの状態に戻ります。新品のドラムとシューならばZの斜め角は小さく、ドラムやシューが減っているとより大きくなります。使用限度を越えて使っていると、カムの角度が大きくなりすぎて 工 のように90°の直角になってしまうと、もうスプリングの力では戻る事が出来なくなり、ブレーキが効きっ放し状態。だからウェアインジケーターがそうなる前の使用限度を示しているのです。インジケーターはシューの摩耗のみを示すモノではなく、ドラムとシューの摩耗を含めた上で”カムの角度的限界”を示してると考えた方が正しいと思われます。

「じゃぁこの前交換したばかりのシューをまた交換しなければいけないのか?」と若干怒気を含んだ言い回しで聞いてくるオーナーさん。最近シューを交換したばかりってことを踏まえると、ドラム=ハブの交換が必要になると思いますよと伝えると、「ハブの交換ってスポーク張り替えんのかよ!」と終いには声を荒げたのでした。

原因を聞いてくるので良かれと思って説明したが、何故僕が怒られなきゃならんのだ、意味が分からん。ハッキリ言ってGBオーナーにかかわった事を心底後悔した。

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