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都市遭難

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「まさか、こんな事で遭難しかけるとは思いもしませんでした」

携帯を車内に残しインロックしてしまったお客さんは集配の途中。以降の予定が大幅に狂うので兎に角会社に連絡をしなければならない。若干パニックになりながら必死に公衆電話を探した。

ところが携帯電話の普及に伴い路上の電話ボックスは撤去され殆ど見当たらない。「そうだコンビニには電話がある筈」とコンビニを探し、何とか公衆電話を見付けたが、そこではたと気付く。「財布まで閉じ込んでしまっていた…」

コンビニの駐車場で閉じ込んだのならそのお店に電話を借りる事も出来るかもしれない。でもお客さんは全く違う所に車を置いている。なのでコンビニで電話を借りる事を躊躇ってしまった。

「どうすればよいのか…」途方に暮れるしかなかった。

為す術なく立ち尽くし時間だけが無常にも過ぎて行く。抱えている仕事が遅れる事自体が問題なのに、全く連絡もしないのは非常にマズイ。ともかく電話を貸してくれるところを探さなくては、そう思うが焦りの為か思考は停止した。

暫し呆然としていたお客さんが我に返り、ふと辺りを見回して視界に入ったのは交番。「ここしかない!」と藁にも縋る思いで交番へ駆け込み現状を説明すると、幸いな事に電話を借りる事が出来たのでした。

「携帯が無いと本当に何も出来なくなりますね。今回良く分かりました」車内から取り出した携帯と財布を大事そうに握りしめ、お客さんは安堵の表情を浮かべた。

10年前の携帯電話人口普及率は4%だったのが現在は101%。今では携帯があって当たり前で動いている世の中で、その携帯が使えないとなるとあまりにも出来ない事が多すぎ、何をどうしてよいのやら分からなくなります。お客さんが使った「遭難」と言う言葉、理解できなくもありません。

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