
とあるマンションの階段下に土に還りつつあるヤマハ・SR400があった。
タンクカラーと左側のソリッドなディスクブレーキからすると1982年のモデルのように見えます。でもSRというモデルは1978年から続く超ご長寿モデルなのでこれが1982年かどうかは定かではありません。もしオリジナルだったとしたら33年前のバイクという事になります。
触れられることが無くなったモノ達は朽ち行くのみです。乗らなくなった理由は色々あるでしょう、興味が無くなった、忙しくて時間がないとか。または本人の意志とは無関係なのっぴきならない理由もあるかもしれません。
随分昔、亡きお爺ちゃんの愛車を手入れし続けるお婆ちゃんとお会いしました。
お爺ちゃんが入院する時にお願いされた「二週に一度、エンジンをかけて欲しい」と言うのを、お爺ちゃんの死後も頑なに守り続けるお婆ちゃん。でもあるときうっかり半ドアでバッテリー上がりを起こしてしまいます。お婆ちゃんは免許を持っておらず運転は出来ないので車を動かす事はありません。なのでバッテリーが上がったらそのままでも何の支障もない筈ですが、それでもエンジンがかかるようにする必要があった。それはお爺さんの頼みだから? 恐らくそれだけだは無い筈です。きっと運転席に座ってエンジンをかけると、死んだお爺さんとの記憶が蘇るからではないかと。
本来の使われ方をしなくなっても人が手をかけると機械は動き続けます。でも放置されるとあっという間に朽ちてしまいます。そのどちらかが良いとか悪いとか論ずるつもりはありません。ただ朽ち行くSRを見たらお婆ちゃんの事を思い出し、少しだけ切なくなってしまったのでした。
