
セミのよくわからない習性の一つに、「なんか人間にぶつかってくる」というものがあります。 もしかしたら攻撃なのかもしれませんが、私にはなぜセミが向かってくるのかがわかりません。
例えば、蜂なら人間を刺す。蚊なら人間の血を吸う。 動物なら噛んだり、食べようとしたり。 攻撃行動には対象があり、理由があり、目的があります。 セミには、それがないのです。
彼らは針を持たず、人間の血を吸うわけでもなく、人間を食べるわけでもない。
さながらゾンビ兵のように、不規則に揺れ、鳴き、油断したところにぶつかってくるわけです。 意味もなく。
人は「わからないもの」に本能的に恐怖を抱くと言います。 私もセミ自体というよりも、その目的のない攻撃行動が苦手です。 ふらふらと急接近してくるセミに対して、「目的を!目的を言えー!」と無音の抵抗をしますが、彼らに届くはずもありません。
とはいえ、ふと、人間にも同じことが言えるかもしれないと思うことがあります。
何のために生きるのか。何を求めて生きているのか。 全ての人間が強固な意志をもって生きているわけではありません。
宇宙とか、あの世とか、存在そのものとか。 そういった何か大きなものの前で、果たしてたった一個の人間という存在に意味など本当にあるのでしょうか。
考えは尽きませんが、少なくとも、クーラーの壊れたこの部屋で熱に浮かされながら(熱中症になりかけながら)一心不乱に文字を打ち込んでいることには、何か意味があってほしいと思います。
